飲食業界向けタイ進出へのヒント
トムヤンクンはスープでは無い!
(※上の写真は我が家で作ったトムヤンクン。見栄えを良くする為にエビの皮をむかずにトッピングした。普通に店で注文すると丸まった小さなエビが入っているだけで、エビ以外は小さなキノコしか入っていない。レストランのトムヤンクンを美味しそうに撮影するのは難しいのだ!)
ボクがタイのバンコクに来てからもう25年になる。
この25年の間に気が付いたことが色々ある。
まずは「トムヤンクン」である。
「トムヤンクン」は「世界三大スープのひとつ」と呼ばれている。
しかし、ボクに言わせれば、「トムヤンクン」はそもそもスープでは無い!
では「トムヤンクン」は何なのか?
答えは、「エビしか入っていない鍋料理」である!
(※まあ、、当然「鍋料理」だからスープと具材で出来ているんだけど、鍋料理をスープと呼んでしまうのはちょっと違う、という意味です。)
「トムヤンクン」を直訳すると「煮る」と「混ぜる」と「エビ」という意味であって、スープを意味する言葉は入っていない。実は、タイ語にスープに当たる言葉はないのだ。
タイ人には猫舌が多い!
実はタイでは熱々のスープを飲む習慣は無い。
暑い国だからわざわざ熱いスープで体を温める必要がないからだ。
一つ証拠を挙げると、ボクの知る限りタイ人の妻と母親も含めてタイ人には「猫舌」が多い。
熱いスープで体を温める習慣が無いから、自然と猫舌になったのではないだろうか。
(調べた訳ではないけど、日本でも沖縄の人は他の地域より猫舌の人が多いのではないかな、、)
トムヤム味のラーメンは大人気!
タイには熱いスープを飲む習慣が無いのでローカルのレストランでエビしか入っていない「トムヤンクン」をわざわざ注文するようなタイ人客は少ない。
代わりにトムヤムスープの「クイッティアオ」が大好きなタイ人は多い。
クイティアオとはタイのラーメンのことで、主に米粉の麺を使い、様々なスープの種類がある。
トムヤム味のラーメンは大変人気で、タイのコンビニやスーパーに行けば、必ずトムヤム味のインスタントラーメンが売っている。
「世界三大スープ」という言い方がそもそも怪しい。もしかしたら、日本のマスコミと旅行業界が勝手に言っているだけかもしれない。
タイで成功したラーメンチェーンは「8番ラーメン」だけ!
こういったちょっとした習慣や文化の違いが理解が出来ないと色々な問題が発生する。
良い例が日本からタイに進出した飲食チェーンの成功例が少ないことである。
簡単に言うと、日本人が「おいしい」と思う料理を必ずしもタイ人が「おいしい」とは感じないことを理解できないとタイで飲食チェーンを展開することは難しい。
特に熱いスープが大前提の日本の「ラーメン」や「うどん」の店を大規模に展開することはかなりハードルが高い。
ボクの知る限り、2000年代以降で「ラーメン」や「うどん」といった日本の麺類で成功した日本の飲食チェーンは無い。
唯一の成功例が1992年にタイに進出した「8番ラーメン」である。ウエブサイトによると、タイ国内に2023年の年末で158店舗ある。
ボクは定期的にこのバンコクの「8番ラーメン」に通っているが、どこの店舗に行ってもタイ人客でいっぱい。
「8番ラーメン」にはトムヤンクンラーメンもある。タイ人に大人気のメニューだ。
ボクもそうだったけど、タイに来たばかりの日本人は「8番ラーメン」を高く評価しない場合が多い。スープの温度が少し低めで麺もトッピングも少なめだからだ。日本のラーメン業界のプロだったら、「この程度で売れるんだったら、自分がタイに店を出せば、すぐに全国制覇が出来る!」と思うかもしれない。
しかし、現実は簡単では無い。「8番ラーメン」以外にこれだけ成功している日系ラーメンチェーンは無い。
「8番ラーメン」こそがタイに進出する飲食チェーンのお手本ではないかと思っている。
とにかく、タイで成功する為のものすごいノウハウが詰まっている!
モズモズでした!